数々の芸術作品。見て触れて楽しむことは出来ても口にすることは出来ない。
どんなにスバラシイ作品でも食べてみたら無味乾燥。
口の中には苦い感触が残るだけ。
だが、もし食べられるアートがあったら。
普段口にしているものが作品として目の前に現れたら
みごとに感性を強く刺激してくれるだろう。
　クリスマスも間近にせまった12/18。カフェAgra BowlでのPilot Deli Systemで
食の技術を惜しみなく披露してくれるドイツ人シェフ、マーカス・ボス氏による
フードエキシビション、一足早いXmasディナー「Xmas Punk」。
Punk.....ファッション・アクセサリー・へアースタイル・ミュージック。
様々な分野から取り入れる彼のアイデア・イマジネーションにより生まれる
料理のインスピレーション。
　そこから連想され誕生したのが、モヒカンスタイルをイメージした食べるパンク。扇状にカットされたなめらかなラインの発泡ポリエチレンに、串に刺さったディナーメニューが8本ディスプレイされている。
　 観覧車.....？いや、モヒカンだ。
この8本のメニューを手前から奥にかけて順番にいただくと、前菜・メインディッシュ・デザートのディナーコースになるというなんともユニークでユーモア感あふれるプロジェクトだ。しかも今回はディナーということで、なかなか味わうことの出来ないAgraのナイトイベント。アルコールビール・ノンアルコールビールを飲みながらほろ酔い混じりのいい気分、キャンドルのほのかな灯りにともされ大人なムード漂う中でいただくメニューは、手前から「Duxelle トマトとモッツァレラ」「Fish　エビとパプリカ」「Anuse Guele　イタリアンサラミとたまねぎサラダ」「Anuse Guele　マッシュルーム」「Meat　チキンとジャガイモの皮」「Chese　パルメザンチーズ」「Desert リンゴワインゼリー」
「Desert 冬の果物」この均等な間隔でディスプレイされている8本の、変化に富む食のアートに目を奪われた。どのメニューも一皿一皿コースとして順番に出されてももちろん味には問題ないものばかりだが、目に入ってくる刺激力は格別に違う。
しかも、最初からすべてのメニューを見せられているにもかかわらず、食す前のワクワク感。眺めて、手に取って、香り、食感、味をパンクバンド「SEX PISTOLS」のサウンドの中で楽しみながらいただく、5感をフルに使いながらの食事。一串一串ゆっくりかみしめる。
　決して多いとはいえないこの量の中で、食材のおいしさを最大限に引き出されたみごとなコース。いつもは捨ててしまうジャガイモの皮のおいしさ・薄く揚げられた繊細なパルメザンチーズ・串に刺さったゼリー・冬の果物みかんも串に刺さっているかわいらしさ。すべてが新鮮に思え、そして何よりも「楽しい!」
　今回のサウンドを飾った、日本人には馴染みの少ない「SEX PISTOLS」も違和感を感じることなく料理と調和させたマーカス・ボス氏の技芸ともいえるパンクで味わう新しい体験。そしてアートなフードスタイル。
　クッキングサロンなどの勢力的な活動とともに、これからもシェフ自身と食の進化は止まることはない。